その店子に貸して大丈夫?テナント賃貸経営における基本的なリスクヘッジを教えます。

貸主向け

テナントの賃貸経営はハイリスクハイリターンです。入居が決まれば家賃収入は高く店子の商売が軌道にのれば長期間に渡る家賃収入も見込めますが逆に空室になると一転して入居が決まるまでの時間は長く感じるものです。

それにテナント賃貸経営には忘れてはならないリスクがもう一つあります。

それはテナント店子とラブルが発生した場合です。

テナントのトラブルはアパートやマンションのように簡単に収拾がつく事例は少なく、どちらかというと店子とのトラブル解決糸口が見えぬままずっと平行線のままという事例の方が多いです。

何か商売をする為にテナントを借りる店子さんは、基本的にそれなりの人脈を持っていたり知識も豊富で一癖も二癖もあるような人が多いのです。

それに加えてただ借りているだけはなく、商売をしているのですからお金にはシビアで大家さんとお金に関するもめ事を起こすと一筋縄ではいかないでしょう。

私が業界にいた頃にテナントを持っていた大家さんは気が強い人、地元では人脈がある人、知識が豊富な人が多かったです。

契約中に店子に何か言われた場合に対等かそれ以上の態度で挑めるような人でないとテナントオーナー業は難しいでしょう。

店子とのトラブルに管理会社を当てにしない

管理会社の主な仕事は入居者募集や斡旋、入居中の家賃管理くらいしかあてにしないことです。

例えば店子からクレームが入った場合、ある程度の対応はしてくれますが基本的には大家さんに「このように言ってますがどうしましょうか?」と判断を仰ぎます。

アパートやマンションのような居住用物件ならせいぜい雨漏れや設備トラブル、騒音問題なのでたかが知れてますがテナントの場合は内容が重いものが多いのです。

特に物件使用にあたって何か問題があった時に店子がその間商売が出来なくなった場合などは店子と大家さんの協議が必用です。

もちろん契約書に原則は記載されているものの、現場ではそう簡単に契約書通りにはいかないものです。

貸主・借主お互い事業者同士とはいえ、人と人との契約ですから情が湧く事があれば欲も出る事もあります。

管理会社は正直、間に挟まれるのは嫌です。

明らかに「こうだ!」と断言出来るトラブルについては間に割って入って仲裁をしますがそれ以外の場合はあくまで中立的な立場でしか物事を進めないことが多いでしょう。

テナントの貸し借りにおけるトラブルはそのほとんどが契約書に取り決めが無い内容ばかり。

なのでお互いに協議して折り合いをつけるのが一般的です。

これからテナントオーナーを始めたいと思っている方は「もし店子とのトラブルが起きた場合は管理会社を当てに出来ない」ということを頭の片隅に入れておくべきです。

テナント店子とのトラブルを未然に防ぐには

もちろん長い間テナントを貸しているけど今まで大きなトラブルや紛争にまで発展したことが無いオーナーさんも多いでしょう。

そのようなオーナーさんは貸し方が賢かったりトラブルを未然に防ぐ防御策を自ら行っているか、良きパートナー(不動産業者)に恵まれているのでしょう。

もし何も考えずにただテナントを貸しているだけという状態だと、いつかハズレの店子を引いてしまい思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

しかし契約前にそれ(店子のアタリ・ハズレ)を予測するのは極めて難しいんです。

なんせハズレの店子はテナントを借りる前はおとなしく仮面を被っていますからね。

じゃあ未然にハズレの店子を避けるにはどうしたらいいのか?

私がもしオーナーさんに聞かれたら業種で選ぶ事を提案します。

業種によって差別する訳ではありませんが少なくとも私の経験上、テナントを貸して後々面倒なトラブルが多かった業種をお教えしますので宜しければご参考にしてみてください。

重飲食店

飲食店には大きく分けると軽飲食店と重飲食店があります。

その意味は読んで字のごとく軽飲食店とは喫茶店のように軽い飲食物を提供するようなお店のイメージです。

一方、重飲食店とはラーメン屋さんとか居酒屋、焼き肉、お好み焼きなど油や火を結構使ってガッツリ調理した料理を提供するようなイメージです。

私の経験上、重飲食店が最もトラブルが多かったのを覚えています。

重飲食店経営者はクセのある人が多い

やはりトラブルの元は人の資質です。

差別する訳ではありませんが私の経験上、重飲食店を経営するような方はクセが強いので何かと面倒です。

軽飲食店経営者は割とあっさりとしている性格な方が多いのと、金銭的に余裕がある人がセカンドキャリアやセンカンドビジネスとして手軽に始める方が多かったような気がします。

一方、重飲食店経営者は本業でやっている方や脱サラして本腰を入れてやっている方が多かったので神経質で細かい、特にお金が絡むと一歩も譲らないような方が多かったですね。

これは業界経験者の単なる独り言だと思って聞いていただいて結構ですが、重飲食店にテナントを貸すならガチガチの契約書を作成して貸した方がいいですよ。

口約束や曖昧なことを言うと追々大きなトラブルに発展しかねません。

重飲食店に貸したら物件は想像以上に汚れる覚悟を

重飲食店は主に火や油を使って作る料理を提供するようなお店です。

テナントが汚れるのは覚悟しましょう。

テナント内の壁紙や天井は店子で造作するケースが多いので気にならないかもしれませんが、油汚れはエアコン内部や電気照明などありとあらゆる場所にこびりつきます。

エアコンを貸主負担で維持管理や修繕をする契約をしている大家さんは大変です。

オフィスのような業種で使うエアコンと違って重飲食店で使うエアコンは汚れるのが早くその結果寿命も短くなります。

しかし契約時にエアコンを「設備」として記載してしまったなら店子の故意や重大な過失が無い限りそのエアコンの修繕費用や取替え費用は貸主負担となります。

なので業界ではテナントを重飲食店に貸すならエアコンを設備として扱わず、残置物扱いとすることは基本中の基本です。

また、複数のテナントが入るテナントビルの一角に重飲食店が入れる場合、共用部分が汚れることも覚悟しておきましょう。

共用部分の表面がザラザラの床タイルやマットなんかは1週間に数回清掃業者を入れないと美観性を保つことは出来ません。

よく重飲食店にテナントを貸した大家さんがテナントの占有部分や共用部分について使い方が汚いと嘆く方もいますが「重飲食店」に貸すという事はそういう事なのです。

善管注意義務を守ってテナントを使っても想像以上に汚れてしまうものなのです。

水商売系

華やかなイメージのある業種で割と店構えや内装も綺麗に改装するのでテナントの見栄えもよくなり喜ぶ大家さんもいるでしょう。

しかしキャバレーやクラブといった水商売系もまた面倒臭いんです。

家賃単価も大きいし大家さん的には良い店子かもしれませんが、管理会社から言わせると出来れば管理したくない業種第一位と言っても過言ではありません。

稼働時間が昼夜逆だから管理しずらい

まず水商売系は夜型なので一般の人とは真逆の時間帯に稼働しています。

これの何が駄目なのかって、例えば物件で打合せする時はいつも夕方や夜しかありません。

電話は通じますが物件に何か不具合があった場合、業者を手配するにも日中に処理出来ないのが悩みの種となります。

合い鍵で立ち会ってくれれば勝手に入っていいと言われますが、管理会社だって暇じゃないから正直立会い代行費用を請求したいくらいですね。

また、何かあった時に連絡が来る時間帯がいつも夜です。

水商売のお店もお客さん商売なので焦っているのか「今日中に何とかしてくれ」とか「今すぐ来てくれ」と言われる始末。

特に多かったのはトイレの排水やキッチンの詰まり関係です。

契約内容を理解していない人から電話がかかってくる

水商売のお店には店長やマネージャー・従業員と複数人いますが毎回違う人から連絡が来ます。

管理している側から言わせればテナント契約者とだけ連絡を取り合いたいのですがなかなかそうもいかないのがこの業種です。

テナント契約者は普段お店に居ない事が多く、現場のことは主に店長やマネージャーに任せているケースが多いので現場から直でこちらに電話があります。

例えばエアコンは借主側で修理や交換をするという契約内容なのに「 エアコンが効かなくなったので何とかしてくれ! 」と深夜に電話がかかってきます。

次回からはまずテナント契約者へ連絡するようにお願いしますが忘れてしまうのか何なのかこちらに電話してくるのです。

お店のスタッフさんの入れ替えも激しい業界なので話が分かるスタッフさんが辞めてしまうとまた振り出しに戻ってしまうのです。

今思うと水商売の店子の場合は大家さんからもらう管理料は安すぎたのではないかと思いますよね。

普通の法人さんの事務所の管理と比べたら労力や精神的疲労は相当なものです。

今もし個人で水商売系のテナントの管理をお願いされても断りますね、そのくらい嫌な業種でした。

業種を選ぶよりリスクヘッジの準備を

重飲食・水商売の業種はテナントを貸すと面倒だという個人的な理由はご理解いただけたでしょうか。

とはいえ店子の業種にこだわりすぎても今度は空室期間が増すばかりです。

なのであまり神経質になることはありません。

「軽い気持ち」で重飲食や水商売系の店子に貸すとこんなこともあるということを知っているだけでも違います。

賃貸経営はリスク無しには出来ません。時には思い切った判断が必要になります。

その際、一つ一つリスク対策を講じる事で未然に防げるものもあるのです。

テナント経営が初心者である方や新築・築浅のテナント所有者の方は業種を選ぶのも一つのリスクヘッジですが、そうでない方は契約書の内容をしっかりと作成する事でリスクに備えます。

例えば飲食店ならテナント内部の内装から造作物までの一切を残置物扱いにしてその維持管理費用や修繕費用・交換費用は店子負担にします。

これによって大家さんが面倒をみるのは雨漏れの修理やライフラインの確保くらいになります。

テナントはアパートやマンションを貸す感覚で契約してしまうと思わぬ出費を強いられることもありますので出来るだけ大家さんが身軽になれるような契約書を作成することがポイントです。

テナントを賃貸するような機会がありましたら是非参考にしてみてください。

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